覚せい剤使用で逮捕された経験を糧に、精神疾患や依存に悩む方をサポートしたい。ワンネス財団・位田社長の起業エピソード

「沖縄の経営者特集!」第104弾。今回は「人生を生き直すことのできる回復と成長」をサポートする自立支援訓練所、ワンネス財団九州・沖縄地区の位田忠臣社長をご紹介します。

ウェルビーイングという、心身と社会的な健康を意味する概念に着目した独自のカリキュラムを用いて、依存・生きづらさ・刑務所や少年院出所者の回復・社会復帰を支援するワンネス財団。

九州・沖縄地区代表を務める位田社長へ、どのようなきっかけや想いでこの事業を始められたのかを伺ってきました。

27歳の時に覚せい剤使用で逮捕。自身の依存経験を糧として

取材班:平成24年にワンネス財団様の沖縄支部が設立されたとお伺いしていますが、まずは九州・沖縄地区代表にご就任されたきっかけから教えていただけますか?

位田社長:元々僕は、ワンネス財団が経営している施設の利用者でした。
入所のキッカケは、16歳のころから十数年に渡って使用を続けていた薬物と覚せい剤です。自分の力だけでは薬物の使用をやめることができず、めちゃくちゃな生活を送っていました。
当然仕事も続けられないので、人にお金を借りないと生きていけない生活を10年ほど送っていたんですよね。

取材班:そうだったのですね。

位田社長:その後、27歳で初めて警察に逮捕されました。ワンネス財団と出会ったのは、3年間刑務所に服役し、出所したタイミングです。

取材班:その後利用者だった期間を経て、施設で働くことになったのですね。どのような思いで共に働かれることになったのでしょうか。

位田社長:僕自身、10代から覚せい剤に依存し、27歳で逮捕されるという、本当にとんでもない人生を送ってきました。こうした自分の経験が、同じ境遇で苦しんでいる人たちの救いになればと思ったんです。

事実、「服役経験のある人間は、胸を張って生きるべきではない」と思われる方も少なくないと思います。
けれど、だからこそ、今から未来を進もうとしている人たちにとって、生きやすい社会づくりをしたい。「一度失敗したものは日陰で生きていかなければいけない」という価値観を変えていくことができればと考えています。

取材班:素晴らしい思いで働くことを決められたのですね。

一般常識を一から学ぶ大変さ

取材班:位田社長がワンネス財団様の九州・沖縄地区代表にご就任されてから、今までで一番苦労した出来事を教えていただけますか?

位田社長:僕は10代で覚せい剤に依存した状態になり、自立した生活をできないまま30代になりました。だから刑務所を出ても、当たり前に皆さんが持っている一般常識を一切知らないんです。
人とのコミュニケーションの取り方から、役所での手続きの仕方、誰かと協力して何かを成し遂げる方法だってそうです。

今まで経験したことが無く、見向きもしなかったことを、一つひとつ覚えていかなければならず、一般常識やソーシャルスキル、基本的なビジネススキルなどを身につけるのがとにかく大変でした。

取材班:確かに、何でも初めてやるのは大変ですよね。ただ知識を入れればいいというものではなく、経験することで初めて身につくことも多いですからね。

位田社長:そうですね。たとえば、期日。僕は子どものころから夏休みの宿題でさえも期日を守れないタイプでした(笑)。
だから「期日を守る」という常識を、一から学んでいくところからスタートしました。慣れるまでは、とにかく時間がかかりましたね。

取材班:それは大変なご経験でしたね。今の位田社長からはあまり想像できないですが…(笑)。

自身のプライドを捨てて一緒に課題をクリアしていく

取材班:先ほど一般常識を学び直す大変さをお話いただきましたが、そのような壁をどのようにして乗り越えられたのですか?

位田社長:「一緒に課題をクリアしてくれる人の存在」があったから、壁を乗り越えられたと思っています。
というのも、僕はワンネス財団に入所するまで、分からないことを人に聞くという経験をしてこなかったんですよ。プライドが邪魔をしていたと言いますか…。人にものを尋ねることは、恥ずかしくてみっともない行為だと思い込んでいたんです。
でも、ワンネス財団での生活を通して、「そのままではいつまでたっても前に進めない」と気づきました。

幸い、ワンネス財団のメンバーは丁寧に物事を教えてくださる方ばかりだったので、とにかく自分の課題を彼らと一緒に明確にしていくことから始めました。すると、自然と自分で自分の課題がわかるようになり、一つひとつクリアできるようになったんです。

取材班:なるほど。助けてくれる人の存在は本当に大きいですよね。

位田社長:そうですね。正直、サポートしてくれる人たちがいなかったら、僕は今でも自分自身の課題を正しく認識したり、解決のための一歩を踏み出したりできていなかったのではないかと思います。あの時僕を助けてくださった方たちには本当に感謝しています。

ポジティブ心理学のアプローチを加えたカリキュラムで、ウェルビーイングな生き直しを目指す

取材班:ワンネス財団は現在、依存や精神疾患、引きこもり、刑務所や少年院出所者などの生きづらさを抱えた方のサポートを行っていらっしゃいます。財団のコンセプトやアピールポイントをお伺いしてもよろしいでしょうか。

位田社長:僕たちワンネス財団のもっとも大きな特徴は、ただ「回復」や「維持」を目指すのではなく、入所者の皆さんの「ウェルビーイングな生き直し」をサポートしているという点です。

取材班:ウェルビーイング、近年耳にすることが増えた言葉ですよね。具体的にどういったことに取り組まれているのか教えてください。

位田社長:ウェルビーイングというのは「身体的・精神的・社会的に良好な状態」と定義されることの多い概念で、「幸せであること」とも言い換えることができます。
これまで「生きづらさからの回復」というと、文字通りの「回復」、つまり心と身体の状態をマイナスからゼロに戻すことがイメージされてきました。たとえば薬物依存の状態からの回復であれば、薬物を使わなくても生きていけることを目指してきたんですよね。

しかしわたしたちは「生きがいとともに生き直すこと」ができて初めて、人はウェルビーイングな状態になれると考えています。

だからわたしたちは、従来の心理学的アプローチに加え、ポジティブ心理学・ポジティブ心理療法的なアプローチを取っています。「ウェルビーイング」に焦点を当てた独自のカリキュラムを用いることで、従来の福祉的支援団体の枠組みを超えた「ウェルビーイングに生き直しができている状態」を目指しているのです。

取材班:なるほど。依存状態や精神疾患などの生きづらさからただ「脱する」ことを目指すのではなく、その先にある「自己実現」や「個人の幸せ」にまで目を向けるということですね。

位田社長:もちろんそのために必要なのは、カリキュラムに取り組むことだけではありません。仲間と同じ時間を共有して、悩みを話したり、弱さを見せたりする。
すると、それまで感じていた孤独感もなくなり、愛を持って人と人との関係性を築いていくことができる。このプロセスが、ウェルビーイングな生き直しにつながっていくと考えています。

それぞれの強みを生かした人生の形作り

取材班:位田社長が持つ今後のビジョンについてお伺いしたいです。

位田社長:僕のように刑務所から出所してくる方をはじめ、ワンネス財団に入所されている方は皆何らかの生きづらさを抱えています。
でも、刑務所にいたからといって、何かに依存していた過去があるからといって、人生がそこで終わるわけではありません。その経験があったからこそ感じられること、見られる景色だってあるはずです。
ワンネス財団の回復プログラムでは、一人ひとりがとことん自己と向き合い、自分の強みを見つけていく取り組みを行っていきます。

入所者の皆さんには、ワンネス財団で見つけた自分の強みを上手く生かして前向きな生き直しの道を歩んでいってほしい。僕は、そのサポートに力を尽くしたいと思っています。

取材班:そういった経験を持つ方たちにしかない独自の視点もありますよね。

位田社長:そうですね。ウェルビーイングな生き直しをサポートするためには僕たち自身が成長すること、そしてもっと多くの支援人材を育てていくこともちろん、社会全体の意識・認識を少しずつ変えていく必要もあります。

やりたいこと、やらなければならないことは山ほどありますが、これからも一つひとつ、地道にビジョンに向けて進んでいきたいと思います。

「限られた24時間をいかに有効活用していくか」

取材班:最後に起業を目指す方へ向けてメッセージをお願いします。

位田社長:起業したての何もない時期に、唯一誰もが持っているものが時間です。
1日24時間、その時間は誰もが平等に持っています。この人は偉いから1日26時間なんてありえませんからね(笑)。その限られた24時間をいかに有効活用していくかが重要だと思います。

取材班:同じ24時間でも、過ごし方によって結果は大きく違いますからね。

位田社長:そうですね。社会に何らかの影響を与えている方々って、24時間の使い方が上手い人ばかりだと思います。だからこそ皆さんにも、自分の持っている時間の概念をアップデートしていってほしいと思っています。
そうすることで自分で事業を動かすことがもっと楽しくなるはずですし、成功へも近づけるはず。これは僕自身も経験したことなので、自信を持って言えますね。

取材班:時間の重要性を知っていてもなかなか活用できていない方が多いと思いますが、位田社長のお話を聞いて、きっと多くの起業を志す方たちが時間の大切さを再認識できたと思います。

本日はインタビューで伺いましたが、良いお話をたくさんお聞きすることができました!位田社長、貴重なお話をありがとうございました。

ワンネス財団の情報はこちら

精神疾患や依存症に悩んでいる人たちのために、愛を持って社会復帰をサポートしているワンネス財団。
「限られた24時間をいかに有効活用していくか」と語る位田社長の姿を見ると、起業を成功させるために持つべき認識について再度学ぶことができました。
そんな位田社長が代表を務める、ワンネス財団九州・沖縄地区の事業所情報は下記よりご確認いただけます。

事業所名 ワンネス財団
アクセス
住所 〒901-0618
沖縄県南城市玉城字船越218-1
電話番号 098-988-0945
公式HP https://oneness-g.com/

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