台湾でのマーケティングの経験が沖縄に必要とされていた。マリンポートパートナーズ株式会社・今川社長の起業エピソード

「沖縄の経営者特集!」第103弾。今回は、浦添市港川にある国内・海外のマーケティングコンサルティング企業、マリンポートパートナーズ株式会社の今川雄太社長をご紹介します。

海外観光客を集客するインバウンドマーケティングや、国内企業の海外進出を支援するアウトバウンドマーケティング、そのほか観光業や製造業へのコンサルティングなど、全国の中小企業へ幅広くサポートを行っているマリンポートパートナーズ株式会社。

そんな会社を設立した今川社長へ、どのようなきっかけや想いでこの事業を始められたのかを伺ってきました。

自分のスキルと沖縄の相性が良かった。起業への強い思いを胸に

取材班:マリンポートパートナーズ株式会社様は2019年4月に創業されたとお伺いしていますが、まずは起業されたきっかけから教えていただけますか?

今川社長:私はもともと、2009年に東京で花王株式会社に就職し、台湾駐在なども含めて海外畑で仕事を10年間行っていました。その後、沖縄在住であった妻との結婚がきっかけで、2018年に沖縄へ移住しました。
いったん沖縄のNPOに入りましたが3ヶ月程で離れ、その後3〜4ヶ月ぐらいはプー太郎状態でした(笑)

取材班:えー!(驚)そうだったのですね。

今川社長:決して悲観的なものではないですよ!短期間で離れたのも、組織に頼らずに、自分自身のビジネススキルが沖縄の土地に合っているため、一人でもできるのではないか、という思いがあってのことです。
大企業でのマーケティングノウハウや、海外駐在の経験、中国語を話せることなど、私の持っている経験やスキルが、観光ビジネスで盛り上がっていた沖縄と非常に相性が良いと思っておりました。

色々なセミナーや勉強会に参加してどこに機会があるかリサーチを重ねていたのですが、台湾にかかわるセミナーで講師をされている方々がお話しされている内容に違和感があり、最近の台湾消費者の動向や、お金をあまりかけずに効果の出る施策の方法などを、参加している方にお伝えしたいという気持ちが日に日に強くなっていきました。
そこである程度の自信がついたと言いますか…。

取材班:確かに、今川社長が持っているご経験やスキルは、沖縄では珍しいと思います。

今川社長:他にも、花王というマーケティングの強い会社で営業やマーケティングを行っていたので、沖縄で製造業や小売業をされている方にどんどんアポを取って会いに行っていました。
実際にお話を聞くと沖縄ならではの現場の悩みなどが、今までの経験やノウハウが役に立つのではないかという仮説が確信に変わりました。

次第にそういった方々と仲良くなっていき、いくつかの企業様からコンサルの依頼を頂けるようになったんです。
このタイミングで「組織に属して仕事を行うのではなく、自分のノウハウを広く沖縄の企業へ提供できる」と確信しました。

取材班:凄いですね!活動的と言いますか、とにかく積極的に動いたということがすごく伝わってきます!

今川社長:私自身、高校生の頃からなんとなく起業したいなぁという夢はあったんですよ。
そこで、大学在学中にはベンチャーで修行したり、大企業にいながらも独立できるように有料セミナーに参加したり、本を沢山読んだりと勉強は続けていました。

起業前と起業後のギャップに苦しんだ

取材班:今川社長が起業されてから、今までで一番大変だった出来事を教えていただけますか?

今川社長:今までは大企業の会社員だったので、リソースが整っている環境で仕事をしていました。
従業員の数も多ければ、便利なITツールも揃っていましたし、マーケティング施策を行うにしても広告費などのリソースが豊富にあったといえます。

しかし、沖縄では豊富にリソースを持っている企業はありません。人がいない、ITツールがない、広告費がない。という状況からスタートして、過去の経験をそのまま使うことは難しいなと改めて実感しました。

取材班:なるほど。起業前と起業後のギャップということですね。

今川社長:そうですね。幸いにも、台湾駐在の時は花王台湾という現地の独立した組織(100名程度)で働いていたので、営業やマーケティングだけではなく、財務や人事、全社の戦略などにも触れる機会が多くありました。

また、ベンチャーで修行していた時期を振り返ると、一人3役以上はこなしていたなと思います。たまに、「今川さんは大企業にいたんでしょ?」と言われますが、ベンチャーにいたころは4人の組織でしたし、台湾にいたころも100名程度の中小企業でした。

中小企業様向けに、人がいない、お金がない中どうやってサポートしていくのか。台湾での中小企業で働いた経験がなければ、今のように中小企業をサポートできなかったと思います。

今までのやり方が通用しないことも、新たなチャレンジだと思って楽しんでいた

取材班:先ほど、起業前とのギャップに悩まれたとお伺いしましたが、そのような壁を今川社長はどのようにして乗り越えられたのですか?

今川社長:乗り越えたというよりかは、勉強しながら楽しんで事業に取り組んでいたイメージです。
お金も従業員もいない中どのようにして企業様をサポートするのか、台湾やベンチャーでの経験はありましたが、沖縄の中小企業にそれをどのように適応させていくかは工夫が必要でした。

台湾に初めて赴任した時は中国語が一切話せない状態で赴任しましたが、必死でくらいついていき、1年程度で話せるようになった経験があります。最初は言葉が話せないということで、会議にも呼んでもらえないこともありつらい時期もありましたが、それを一つ一つ乗り越えてきました。

今までのやり方が通用しない。でも、努力すればその土地や新たなチャレンジに適応できる。その自信はありました。とにかく新しいことにチャレンジし続けること自体が好きなのかもしれません。

取材班:楽しむことで自然と乗り越えていったということですね!理想的な仕事への取り組み姿勢ですね!

今川社長:そうですね。あとは、サラリーマン時代は成果に関係なく安定した給料というカタチでお金が入ってきますが、起業後は売上が低い時もあれば、大きな金額が入ってくるときもある。
また、自分で税務署に行ったり、何もかも1人で行わないといけません。そういった自分自身にすべてがかかっているという意味で、大変ですがすごく勉強になりましたね。

取材班:大変だった壁も自らの成長に利用したのですね!我々も見習わないとです(笑)

国内外問わずマーケティング面の支援を。経済産業省中小企業庁から海外進出支援企業に選定

取材班:ここで、マリンポートパートナーズ株式会社様のアピールポイントをお伺いしてもよろしいでしょうか。

今川社長:基本的には、海外向けと国内向けの2軸でマーケティングや販路拡大の支援(コンサルティング)を行っています。
海外向けには、日本企業が海外進出を行う際にマーケティングや販路開拓を支援する「海外進出支援サービス」。
また、コロナの影響で止まっていますが台湾や香港人の観光客を集客するためのインバウンドマーケティング支援を行っています。

一方で国内向けには、ものづくりや観光関連のクライアントに対して、「モノづくりのノウハウや考え方」や「集客の方法」「デジタルマーケティングやEC強化」などの支援を行っております。

取材班:具体的に海外進出の支援とは、どのようなことを行っているのでしょうか。

今川社長:前述のマーケティング支援や販路拡大支援はもちろんですが、日本のブランドが海外進出する際には、現地の法律や消費者の考え方を理解することが重要です。
例えば、海外では雑貨製品も使用期限を明記しなければならず、食品のように雑貨製品も製造年月日の記載や使用期限の明記が必要になります。

また、商品の輸出を行うにも、対象国の法制度を理解しておかなければ様々な問題が出てきます。そのほかには、商品パッケージの色一つとっても、「縁起のいい色」が日本とは異なり、NGになる配色や言葉も存在します。そうした問題点を「モノを作ってしまう前に」早期にサポートしています。

先日、日本ブランドの海外進出を促進させる「ジャパンブランド育成事業」という経済産業省中小企業庁の取り組みで、マリンポートパートナーズ株式会社が、大企業や老舗企業が多く名を連ねる中で、全国約170社の内の1社に選定されました。

弊社は創業3年と若い企業ではありますが、台湾を中心とした現地との太いパイプや、消費者の変化に合わせたデジタル施策の実績が評価されたと感じています。
海外進出に関して多くのノウハウを持っていますので、安心してご依頼いただけるかなと思っています。

取材班:政府が選定する全国170社に選ばれるとは素晴らしいですね!しっかりとした実績を持たれている会社様なので、何の心配もなく海外展開やマーケティングのサポートをお願いできそうです。

社会に貢献したいと思っている企業様をサポートしていきたい

取材班:今川社長が持つ今後のビジョンについてはいかがでしょうか。

今川社長:今も行っていることですが、沖縄を中心とした全国の企業を隣で支えながら、経営者の悩みを解決していく手伝いを行っていきたいです。
沖縄には素晴らしいリソース(伝統や自然資産)がたくさんあります。海外へもどんどん発信していきたいですね。

取材班:今されていることをこれからも突き詰めていくということですね!

今川社長:そうですね。大量生産、大量消費のモデルでは大企業には勝てませんし、消費者の購入インサイトやトレンドも変わってきています。
このあたりの、次の一手を示せるのも私の強みだと思っているので。
これからも、社会を良くするために動いている人たちを全身全霊でサポートしていくつもりです。

取材班:素晴らしいですね!具体的に、どのような企業をサポートされているのですか?

今川社長:そうですね。沖縄では「SHIMADENIM WORKS」さんのサポートもさせていただいております。
このブランドは、サトウキビの搾りかすを廃棄するのではなく、再利用して糸や紙にして製品を作っています。私が着ているかりゆし(1枚目の写真)も、シマデニムさんの持続可能な循環型モノづくりの中で生み出された商品です。

自社の利益だけを追うのではなく、「社会に貢献したい」「持続可能な世界を作るために」と考えている経営者をサポートしていきたいと強く思っています。
大量生産、大量消費のモデルでは大企業には勝てませんし、消費者の購入インサイトやトレンドも変わってきています。
中小企業の勝ち筋は、表面的な商品のデザインを行うブランディングではなく、シマデニムさんのように「そのビジネスの背景やストーリー自体をブランディングしている企業」だと思います。

引き続き、未来を一緒に作っていける企業さんのサポートを続けていきたいです。(写真はSHIMADENIM WORKSさんで台湾向けオンラインイベントを行った際の一コマ)

「マーケティング・ブランディング・プロモーション」意外と意識されない言葉の使い分けとは

今川社長:私から逆に質問なのですが、「マーケティング」「ブランディング」「プロモーション」それぞれの言葉の定義や意味を説明できますか?また、その違いは何でしょうか?

取材班:えっ…企業の良さを伝える広告活動だと思うのですけど…。あれ、もしかして全部一緒の意味ですか?(笑)

今川社長:そうなりますよね(笑)普段、様々な企業活動の現場でこれらの言葉をよく聞くと思います。しかし、自ら考えて言葉を発言している人はほとんどいません。
沖縄では、マーケティングやブランディングという言葉をよく聞きますが、それらの内容を聞いてみると、ほとんどがプロモーションのことを指しています。
企業や広告の主体が消費者に向かって「この商品が良いですよ!」と一方通行の矢印でコミュニケーションをとっている。これはほとんどの場合がプロモーションです。

マーケティングとは、その価値を届ける相手について理解すること、届ける価値の内容を作りこむこと、価値の届け方をデザインすること、競合についてのリサーチをすることなど、価値を届ける一連の活動を指します。
価値を届ける相手を理解し、相手にどのように伝えれば「悩みやニーズ」が満たされるのか。これをフィードバックを得ながら続けていきます。矢印でいえば、企業も消費者もぐるぐる回っているイメージです。プロモーションは、この「相手に伝える」ことのみの部分的な話だと私はとらえています。

そしてブランディングは、「消費者」に伝えるのではなく、どのように「ファン」になってもらうかを考えることだと思っています。ファンから企業の方向に矢印が向いているイメージです。
リソースの少ない企業は、ブランディングがカギになると思っています。ただ、ブランディングを「プロダクトやサービスの表層的なデザインをよくすること」と狭義のブランディングと捉えてしまうと何も変わりません。「ファンを作ること」がブランディングです。

こうやって見ると、それぞれ矢印の方向が全然違うんですよ。

取材班:確かに、言われてみればそうですね!私自身、それぞれの言葉が持つ意味ってあまり意識せずに使っていたかも…。

今川社長:色々な経営者の方とお話ししますが、どうしたら「プロモーション」ではなく、「マーケティングやブランディング」を行えるかを丁寧に説明していきます。
もちろんプロモーション自体は悪いことではないですけど、ブランディングやマーケティングとの違いを質問してみると分からない方は意外と多いので…。

もう一つ質問です。沖縄のお土産ってECであまり売れていないのですが、どうしてか分かりますか?

取材班:えっと…。すみません、分からないです(苦笑)

今川社長:ご自身の学生時代を思い出してください。昔、修学旅行などでご当地のキーホルダーや人形を購入した経験ってありませんか?一昔前の世代は木刀や壁掛けを思い出されるかもしれません。
こうした行動は、「その商品自体が欲しくて購入しているのではなく」、「そこに行った」「そこで過ごした時間」という「思い出」を購入しているんですよ。
もちろん沖縄のお土産も同じで、多くの商品は「思い出に紐づいた購入」ばかりなんですよね。なので、同じものを単純にネット上で販売したからといって、購入する人は少ないと考えられます。

「お客様がなぜそれを購入したか」というショッパーインサイト(購買者の心理や購買理由)を考えることが非常に重要なんですが、皆さん「おいしいから売れている」「ブランドイメージが良いから売れている」という返答を聞きます。

確かにそういう理由もあるかもしれませんが、観光において60~80%の割合の購入が「事前に購入を決めていたものではなく、店頭で決めたもの」だと分析しています。沖縄のお土産関連で売上を作ってきた企業は、「店頭でどれだけ露出を行い、その場での購入を誘引できるか」が勝負になっている。
そんな観光市場の特性をとらえて売れていた商品が、全国の名品と並んでECで表示されて勝てるかどうか。そのために必要になるのが、ブランディングです。

沖縄県内のお土産市場だけで勝負をするなら、店頭プロモーションばかりやっていてもよいのですが、県外や海外で売っていくとなると「思い出としての購入」は起きません。なかなか商品は売れてくれない。そこを私がサポートしているんですよ。

取材班:とても分かりやすいご説明ですね!私自身、改めて言葉の意味を理解できたので、とても勉強になりました!

「一旦起業してみたら良い」起業における勢いの大切さ

取材班:最後に起業したい方へ向けてメッセージをお願いします。

今川社長:今は簡単に起業できる時代なので、一旦起業してみたら良いと思います。今まさに会社員で働いているという方も、個人事業主登録ぐらいはしておくと良いかもしれません。
税金の仕組が勉強できたりと、いざ起業する際にとてもタメになるはずですよ。

取材班:やはり起業には勢いが大切なのでしょうか。

今川社長:そうですね。僕自身は高校生の時から起業について考えて動いてきましたけど、最後はやっぱり勢いでしたから。
私の場合は、妻と結婚していなかったらまだ東京や海外で組織に所属して働いていた可能性もあります。起業してみると、自分のライフスタイルに合わせて仕事に取り組めますし、本当に楽しいですよ。

今後も、妻の音楽活動をサポートしながら、自分の事業も一生懸命に取り組んでいきたいと思っています。2018年になりますが、本当に、あの時にチャレンジして良かったなと、今になっても思いますね。

取材班:何もせずに後悔するぐらいなら、とりあえずやってみる方が良いですからね!
起業に対して前向きなご意見をいただけたので、きっと多くの起業を目指す方々の背中を押すことができたと思います!

本日はインタビューで伺いましたが、良いお話をたくさんお聞きすることができました。今川社長、貴重なお話をありがとうございました。

マリンポートパートナーズ株式会社の情報はこちら

海外進出を目指す企業や、社会貢献について考えていきたい企業様をサポートするために、日々マーケティングのサポートに勤しんでいるマリンポートパートナーズ株式会社様。

「一旦起業してみたら良い」と語る今川社長の姿を見ることで、起業に必要不可欠な勢いの大切さを改めて学ぶことができました。

そんな今川社長が代表を務める、マリンポートパートナーズ株式会社の事業所情報は下記よりご確認いただけます。

事業所名 マリンポートパートナーズ株式会社
アクセス
住所 〒901-2134
沖縄県浦添市港川2-9-5
公式HP https://marineport-p.com/

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