琉球藍染などを取り入れて地元沖縄に還元できるブランドを目指す。アパレルブランド「HIGA」比嘉一成社長の起業エピソード

「沖縄の経営者特集!」第30弾となる今回は、沖縄の要素をふんだんに取り入れたアパレルブランド「HIGA」のデザイナー、比嘉一成社長をご紹介します。

沖縄から初めて東京コレクションに参加したり、ホテルグループの統一ユニフォームを手掛けたりと、一見、華やかで順風満帆にも見えるブランド「HIGA」。
しかし、その創設期には大きな失敗も経験し、ご自身もアルバイトをしながら会社の基盤を作っていった経緯があるようです。

そうした苦労をいかに乗り越えてきたか、世界に目を向けながら地元沖縄への還元を考えるなど、クリエーターという一面だけでなく事業家としての考えも持つ比嘉社長に、お話を伺ってきました。

作るノウハウはあっても、売るノウハウがなかった

取材班:ブランドを立ち上げたきっかけについてお聞かせください。立ち上げはいつだったのでしょうか?

比嘉社長:立ち上げは2009年の7月ですね。
もともと東京の文化服装学院で服飾の勉強をし、その後はアパレル商社やメーカーなど、色々な所でファッションの知識を学びました。それから沖縄に戻ってきて、自分のブランドを立ち上げたんです。

取材班:沖縄で起業するというのは、最初から決めていたのでしょうか。

比嘉社長:そうですね。洋服を作るノウハウは県外で勉強していたんですけど、起業するなら地元・沖縄でやりたいと思っていました。
ただ戻ってきた当初は、沖縄のネットワークは全くなくて…。そこから何とか頑張って、今は立ち上げてから12年くらいになりますね。

取材班:12年は凄いですね!最近は、オンラインショッピングもスタートさせたとお聞きしました。

比嘉社長:はい。先月からちょうど始めたところです。実はネット販売ってやってなかったんですよ。

取材班:そうだったんですね。実際に始められて、反響はいかがでしょうか?

比嘉社長:反響は大きかったですね。これまでSNSなどを通して商品紹介はしていましたが、来店が難しくてもインターネットを通じて買っていただけるので、非常に便利に活用しています。

取材班:県外の方も気軽に購入できますしね。先ほど、ブランドを立ち上げて12年とお伺いしましたが、これまでの活動の中で大変だった出来事がありましたら教えてください。

比嘉社長:この12年の中ですか。そうですね、大変だったことは山ほどあります。
ブランドを立ち上げたばかりの頃は、そんなに資金があるわけでもないので、公庫などから借り入れをして、そこから少しずつ売り上げを増やそうと思っていました。

5月に沖縄に帰ってきて、2ヶ月後の7月にブランドを立ち上げて、9月に最初の展示会を六本木でやったんですね。

でも、当時は作るノウハウはあっても、売るノウハウが全くなかったので、結果的に大コケしてしまいました。
ほとんど買い手がつかないという状態が続けば当然、お金はどんどん減っていくので、最初のうちはそれこそアルバイトをしながらという状態です。
県内の専門学校で服飾の講師をしたり。2014年くらいまで続けていたと思います。

取材班:最初は苦労が絶えなかったのですね。

やり方を変えなければ結果も変わらない

取材班:はじめのブランド名はHIGAではなかったのですか?

比嘉社長:そうです。最初は「COVER」というブランド名だったのですが、2015年にアトリエの場所も移しまして、8月に自身の名を冠にしたブランド名「HIGA」へ改名しました。
今までとやり方が同じだったら結果も変わらないと思い、その年は沖縄から初めて東京コレクションにも参加しました。

そこから、沖縄の藍染めを世界に発信しようと思ったんです。
琉球藍を使った商品は2014年の展示会から展開していましたし、女優さんにFacebookやBlogで紹介していただいたこともあってか、東京コレクションの参加をきっかけに売れ方が結構変化してきました。

そして翌年の2016年に、那覇市松尾にセレクトショップ「THE ROOM BOUTIQUE OKINAWA」を立ち上げました。

取材班:松尾のショップは2016年にオープンしたのですね。そこから今のように販路を広めてきたということでしょうか。

比嘉社長:2016年は、リウボウの屋上で開催されるRYUBO FASHION SHOWにも参加させていただきました。
その後、表参道や北九州、大阪などでも商品を取り扱っていただき、県内ではパルコシティや、イーアスでもお取り扱いいただいております。

取材班:沖縄の主要施設に商品があるとは、凄いですね!

心がけていたのは人を大切にすること

取材班:先ほど専門学校の講師などもされていたと仰っていましたが、ブランドを立ち上げて大変だったことを、どのように乗り越えてきたのでしょうか。

比嘉社長:僕は基本的に楽観的なタイプなんですよ。今はできなくても、後々はできるだろうという風に思っているんですね。
とはいえ、やっぱりそこに行くためには、やれていないことをしっかりやっていくこと、とにかく良いものを作らなければいけないという気持ちがあります。

毎年、展示会で新作を発表しているのですが、来てくれるお客様をビックリさせるというか、良い意味で期待を裏切るような商品を常に作ろうと思っています。
そういうコツコツまじめに毎年やってきたことが少しずつ実を結び、お客様の増加につながっているのかもしれません。

やっぱり常に心がけていたのは、人を大切にすることですね。

取材班:人を大切にすることですか。具体的にはどのような感じでしょう?

比嘉社長:はい、洋服を作るにも色々な方法があって、利益が出るならどんなものでも提供しちゃえってやり方も、確かに世の中には溢れています。

だけどHIGAはそうではなくて、やっぱり着てくださる人にとって良いものであるということにこだわってきました。
そうした商品を沖縄から発信していきたいと思っています。沖縄からでも出来るんだと示していきたいですね。まだ途中なのですけど…。

取材班:なるほど。そういえば、沖縄のホテルのユニフォームもデザインされたとか。

比嘉社長:そうです。JR九州ホテルブラッサム那覇の、オリジナルユニフォームのデザインを担当しました。
ホテルの方が訪ねて来てくださって、直接依頼をいただいたんですよ。「他はどこか当たられたんですか?」と聞くと、全てリサーチした上でうちに依頼に来てくださったらしく。
ビックリしましたけど、嬉しくて是非やりましょうということになりまして。

そうしたら、当時の社長様とスタッフの皆さんにデザインを気に入って頂けて。その後、JR九州ホテルグループの統一ユニフォームのデザインを頼みたいと言ってくださったんです。
沖縄から県外に発信していきたいという夢が、思いがけないカタチで実現しました。

取材班:凄いですね!ユニフォームと言えば、学校の制服もデザインもされているんですよね。

比嘉社長:はい、本部町の上本部学園という小中一貫校が建つタイミングでお話をいただきました。
今までの学生服は無地のセーラー服で、ラインも一本も入っていないシンプルなものだったらしいのですが、教育体制だったり、科目だったり、新しくチェンジしていくイメージをデザインに込めたいと依頼をいただきました。

取材班:縁が繋がっていますね。こちらも直接依頼がきたのでしょうか?

比嘉社長:この時は本部町出身のデザイナーさんを介した間接的なご依頼でした。
沖縄県の制服は、学校側が工場に直接交渉して作ることが多いんです。私は以前工場にも勤めていたので、県内の工場の得意分野をリサーチしながら、制作費も高額にならないように配慮しました。

学生服を作るにはどうしてもお金がかかります。いくら格好よくても御父兄の予算を越えてはいけないので、予算の中で、なおかつ学生服としてのデザインの範囲内で考えましたね。

すると、こうした取り組みをオリオンビールさんが見てくださって、キャンペーンで着るオリオンガールの衣装のご依頼もいただきました。

取材班:一つひとつの丁寧な仕事が、次のご縁を結んでいる感じですね。

沖縄に還元できるようにしていきたい

取材班:ブランドとしてのコンセプトだったり、自社のアピールポイントなどはあるのでしょうか?

比嘉社長:ブランドのコンセプトは「どこにいても自分らしくいられる服」
僕自身もそうなのですけど、体にコンプレックスがあったり、もっと着ることを楽しみたいのにジャケットを羽織るだけで肩が凝ったりとか、色々な人がいると思うのです。
そこでHIGAというブランドは、どんな方にとってもリラックスできる洋服でありたい。

だからといって、だらしなく見えるのではなく、着心地はゆったりするんだけどシャープに見えるようなデザインを心がけています。

取材班:デザイン性・機能性の両方を兼ね備えていることから、HIGAファンも多いですよね。

比嘉社長:有難いことに、お客様には東京の方もいれば沖縄の方もいらっしゃいます。
コンセプトの「自分らしく」と言うのは、色々な方の色々なTPOに合わせた、それこそカジュアルからモードまで、色々なテイストの商品を提供したいと思っています。

まずは何より、着心地の良いモノであることが前提ですけどね。

取材班:なるほど、ありがとうございます。ところで、HIGAには社員の方はいらっしゃいますか?独自の取り組みとして、何か福利厚生的なものはありますか?

比嘉社長:うちには社員がいないので特に無いですが…やはり沖縄の企業なので、沖縄に還元できるようにしたいと思っています。県内で出来ない部分はどうしても県外に頼ってしまうのですけど、沖縄で出来るモノは沖縄で生産したいですね。

例えば藍染めの商品を作るなら琉球藍を選ぶとか。琉球藍は生産数が少ないのですが、僕らが使うために現場へ依頼すると、おのずと生産数も増えると思います。
そうした事でも沖縄に還元できたらと考えていますね。

取材班:沖縄の伝統文化も盛り上がりそうですね。HIGAの今後のビジョンについては、どのようにお考えでしょうか?

比嘉社長:一応今のところは、このHIGAというブランドを広げていくことをメインに考えています。
そのためには少しでも早くチームを作りたいと思っていますね。

デザイン担当、生産担当、営業担当というように役割の違ったチームを作って、今後はアパレルだけではなく、デザインというキーワードのもとで不動産や飲食店など、まったく違う業種も今後は事業に取り入れていきたいと考えています。

もともとはアパレルだけでやっていこうと思っていたのですが、やっぱり横串入れて、どんどん業態を広げてこうかと。
もっと沖縄の雇用を増やしたり、地域に還元したり、そうした活動を行っていくのであれば、アパレルという点だけで考えるのではなく、衣・食・住という面で取り組んでいくことが現実的だと思ったんです。

起業したい方へのメッセージ

取材班:最後に起業したい方へのメッセージをいただけますか?

比嘉社長:失敗を怖がっていたら、いつまで経っても怖いはずなので、ちゃんと起業後のことをシミュレーションして勇気を持って行動することが大切だと思いますね。
あと、たくさん仲間をつくること。人との繋がりは本当に大切ですよ。

取材班:シミュレーションと、人との繋がりですね。比嘉社長、お忙しい中取材に応えてくださり、ありがとうございました。

アパレルブランド・HIGAの情報はこちら

今回は、ファッションデザインというクリエイティブな仕事を推し進めながら、地元沖縄への還元を真剣に考えている比嘉社長をご紹介いたしました。

失敗も経験しつつ、それでも「ここぞ」という時の挑戦を躊躇しない比嘉社長の、物静かに語られる熱い言葉に心を揺さぶられたインタビュー。

そんな比嘉社長がデザインするアパレルブランド「HIGA」の情報は下記よりご確認いただけます。

事業所名 アパレルブランド・HIGA
アクセス
住所 〒900-0014
沖縄県那覇市松尾2-12-14-301
電話番号 098-834-8921
公式HP https://higa.jp/

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