まるで雷に打たれたような衝撃!「紅型を一生の仕事にしたい」という想いで起業した。琉球紅型工房あしび・阿部社長の起業エピソード

「沖縄の経営者特集!」第85弾。今回は、琉球紅型工房あしびの阿部社長をご紹介します。

古くから受け継がれる染技より生み出された美しさ・華やかさが特徴の「琉球紅型」。
いわゆる「古典」と呼ばれる既存の型が多い中、琉球紅型工房あしびの紅型は型にはまらない、全く新しいデザインで人々を魅了しています。

紅型体験で興味を持ち、はじめは自己流で作品づくりを行っていたという阿部社長に、起業のきっかけから独立して大変だった出来事、また起業したい方へのメッセージまで伺ってきました。

出会いは沖縄旅行での紅型体験。雷が落ちたような衝撃を受けた

取材班:まずは起業したきっかけから伺ってもよろしいでしょうか?

阿部社長:家族で沖縄旅行に来た時に、染め体験をしたのが紅型自体に触れたきっかけです。
その時に、何と言いますか、「これを仕事にしたい!」と、頭の頂点に雷が落ちたような衝撃を受けました。
神奈川の実家に帰るとすぐに染物の道具屋さんに電話をしてやり方を聞き、1年半ほど自己流で染めていました。

取材班:自己流で始められたんですね!どなたかに師事するということは無かったのでしょうか?

阿部社長:神奈川で有名な染物工房をされている、岩井香楠子先生という先生に師事を仰ぎました。
じつはタイミングよく岩井先生を紹介していただける機会がありまして、その際に自分の作品を見てもらったところ「うちで働いてみる?」と言っていただけて。
しばらくは神奈川で働かせてもらいましたが、やはり心の奥では「沖縄に行きたい…!」という想いがあり、その後に念願叶って沖縄に来ました。

取材班:活動の拠点は沖縄が良かったんですね。ご自身で独立してやっていくことに不安はありませんでしたか?

阿部社長:もちろんありましたが、家族が応援してくれました。沖縄に行くには不安もありましたので、正直なところ、沖縄に行くと言ったときに止めてほしい気持ちもありましたが、「行っておいでよ」と言われてしまって(笑)
沖縄に来てからは、様々な人脈や仲間も出来ましたし、当時は前に進むしかなかったので、止まることは考えなかったですね。

短期間でプロの世界に追いつくことは容易ではない

取材班:普通の人は怖気づいてしまうところだと思うので、行動力がすごいですね…!実際に起業されてから大変だったことはありませんでしたか?

阿部社長:この世界に入ったのが25歳を過ぎていたので、そこから短期間でプロにならないといけないのは大変でした。
特に岩井先生の技術は日本でもトップクラスで、その世界に追いついていくために、最初の2〜3年は本当に苦しかったです。

取材班:職人となると技術を磨くことがやはり課題ですよね。一般的な職人の方よりも後から始められたとなるとより大変だったことかと思います。

阿部社長:当時は追いつくのに必死で、今では絶対できないようなスケジュールで動いていました。
それこそ分単位レベルで動いていましたし、私の場合、古典紅型と違って新しいものを作っていますので、その点も大変でした。

取材班:阿部社長は新しいデザインの紅型を作られているのですね。やはりゼロから作っていくことには難しさがありますか?

阿部社長:新しいものを対象物として今までにないデザインを作るためには、何より「強い動機」が必要です。
例えば紅型のデザインにしたい花や草があれば、実際に山に登って葉っぱ1枚1枚のつき方から周りにはどんな虫がいるのかといったことまで詳しく観察します。
1つのデザインを作るにもこれだけのことが必要になるので、「これを対象にして新しいデザインを作りたい!」という強い動機が必要になります。

初めに紅型に出会った際の衝撃が自分を突き動かした

取材班:新たな挑戦をしていく上で、やはり技術を身につけることには苦労があったということですね。その困難はどのように乗り越えられたんでしょうか?

阿部社長:これはもう本当に申し訳ないですが、根性と我慢です(笑)
グダグダ時間をかけていたらビジネスを始めるタイミングもどんどん先になってしまうという考えもありましたし、3年くらいでプロレベルにならなければという強い信念がありました。

取材班:先ほどのお話を伺っていると大変なことも多かったかと思うのですが、そこまで頑張れた理由は何でしょうか?

阿部社長:やはり初めて沖縄で紅型に出会った時の、「これを一生の仕事にしたい」という想いが自分を突き動かしていたと思います。
沖縄で初めて紅型の体験をした日、帰り道に丘から伸びる高い階段を下りていた時に涼しい風が吹いて、「これは気持ちが良いものだな」と思ったことを今でも覚えています。
たった2時間程の体験でしたが、一生の仕事にしたいと思えるような衝撃でした。

自分にしか作れない、全く新しいデザインの紅型を

取材班:沖縄での素敵な紅型体験から始められたとのことですが、阿部社長の紅型のアピールポイントについて伺ってもよろしいでしょうか?

阿部社長:今までに見たことのない全く新しい染型の作品が作れることがアピールポイントです。

取材班:オリジナル作品を作れるということですね。阿部社長は古典紅型はされないんでしょうか?

阿部社長:よく聞かれることですが、どうしても作家性を求めて古典ではなくオリジナルをやりたいですね。古典の分野で素晴らしい技術を持ったプロの方々もいますが、私はやはり自分にしか作れないものを作りたいと思っています。

紅型という素晴らしい工芸品を海外にも認知してもらいたい

取材班:すでに数々の作品を世に送り出されている阿部社長ですが、今後のビジョンについても伺ってよろしいでしょうか?

阿部社長:今後は日本の染色技術を海外にも発信してみたいです。
目標にしていた呉服屋さんに取り扱っていただいたり、公募展でも実績をつんで、目標の一部は達成できました。今後は琉球紅型の更なる周知をして行きたいと考えています。

取材班:伝統工芸を広めていくことは日本の文化を守っていく上でも大切なことですよね。

阿部社長:琉球紅型は日本独自の本当に素晴らしい美術品なのですが、正直なところあまりにも国内からの注目度が低いと思っています。
なので逆にJapanese Cultureのような形で海外の方から見た方が面白くなるのかなという想いもあり、裾野を広げるという意味でもそういった活動が必要なのかなという考えに至りました。

取材班:実際に海外展開に向けて取り組まれていることはありますか?

阿部社長:当初、海外で個展をする話もありましたが、コロナの影響もあり全くの白紙になってしまいました。
海外は日本に比べて工芸品や美術品にお金をかける文化もありますし、興味を持っていただける可能性はあると思います。海外の人がどのような事に関心があるのかリサーチすることも含めて、海外での個展は自分の可能性を客観視する良い機会になると思ってます。

取材班:最近ではYouTubeやSNSを使った集客も増えてきていますが、その点はいかがでしょう?

阿部社長:動画でやっていくとなった際に、動画としてのエンターテインメント性と職人としての作家性のバランスをどう保つかという懸念はあります。
ただ動画で個展を行って成功している友人もいますので、動画や配信などの新しい形の集客も考えてはいますね。

自分が将来どうなりたいのかを明確にすること

取材班:最後に起業したい方へのメッセージをお願いします。

阿部社長:まずは自分が将来どうなりたいかというビジョンを強く持つことです。1年後、3年後、5年後にどうなっていたいのか明確にすることが大切です。

取材班:起業、経営を行っていく上でビジョンを明確にすることは不可欠ですよね。

阿部社長:そうですね。あとはビジネスとなるとどのように売り上げに繋げていくかという視点、そして目標を持つことも必要です。
私は紅型でどこにいっても恥ずかしくない確かな技術を得たいという気持ちでやってきました。例えば技術を身につけるとしても、この先どうなりたいか?という所まで考える必要があります。

取材班:ビジネスとしての展開含め、自分が事業を通してどうなっていきたいかしっかりと考えることが必要だということですね。
阿部社長、本日は貴重なお話をありがとうございました。

琉球紅型工房あしびの情報はこちら

型に囚われない新たなデザインの紅型で挑戦を続ける阿部社長。

紅型体験での「楽しい」という純粋な想いから、現在のビジネスまで繋げられた阿部社長からは、好きなことを追求する大切さ、そして覚悟を持って取り組めばいつからでも独立起業は遅くないということを学びました。

全く新しいデザインの紅型を提供する、琉球紅型工房あしび様の事業所情報は下記よりご確認いただけます。

事業所名 琉球紅型工房あしび
アクセス
住所 〒901-0361
沖縄県糸満市糸満989-4
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